2009年2月3日火曜日

かんぽの宿 やはり一括譲渡に疑念が残る

 日本郵政が保有する宿泊・保養施設「かんぽの宿」の売却計画が宙に浮いている。
 入札を経てオリックス不動産への一括譲渡を決めていたが、鳩山邦夫総務相が強く反発したためだ。売却に絡む大臣認可が遠のいたことから、日本郵政は計画を一時凍結するとしている。
 郵政民営化法には、二〇一二年までに本業以外の施設を廃止、譲渡すると定めた付則がある。あぶり出された問題点は三点だ。不況で不動産価格が低迷するこの時期の一括譲渡は妥当か。百九億円という売却価格は適正か。売却先は公正に選ばれたか。
 そもそも鳩山氏発言が適切なのかという問題もある。自民党内外の郵政民営化見直し論への配慮、総選挙をにらんだ郵政票への思惑も見え隠れする。繰り返し口にする「疑義」について、もっと的確に説明する必要があろう。
 しかし、それを踏まえても今回の一括譲渡には疑念を挟まざるをえない。これまでも売却や委託を進めてきたとはいえ、その過程や手続きは広く知らされていなかった。
 かんぽの宿をはじめとする郵政施設には、国の予算審議を経た巨額の財政投融資がつぎこまれている。いまだ日本郵政の株式は100%政府保有だ。いくら入札を経たといっても、純粋民間の論理を持ち込むのには無理がある。
 年間四十億円の赤字を生む「不良資産」を早く手放したい気持ちは分からないでもない。が、日本郵政の西川善文社長がいうように「準国有資産」であるなら、慎重を期す必要があろう。
 譲渡対象は、松山市の「かんぽの宿・道後」など七十施設だ。バブル時代に建てたものが多いとはいえ、二千四百億円もかけた物件を百九億円で譲渡する契約だ。二十倍を超す価格差は、もはやたたき売りにしか見えない。
 七十施設のなかに、かんぽの宿でない物件が紛れる。健康増進施設として整備した埼玉県の「ラフレさいたま」は非常に豪華で、実勢価格百億円という見積もりさえある。
 一括譲渡は旧郵政公社時代にも実施しているが、なかには落札価格がわずか一万円だった施設が二件ある。うち鳥取県の物件は、半年後に六千万円で 転売されていた。こんな前例があっては、西川社長のいう「雇用を守る」という大前提も揺らぎかねない。今回の契約では、正社員を「期間の定めのない雇用と する」という条項があるだけだ。
 オリックスの宮内義彦会長は政府の規制改革会議の議長を務め、郵政民営化を支持していたのは動かざる事実だ。立場上、外から見守るべきではなかったか。大規模な官有払い下げには、常に国民の厳しい目が向く。より高い道義が求められて当然である。(愛媛新聞)
極めてまっとうな社説がありました。

かんぽ生命保険とは